第四話 トコさんとの出会い(香川・高松)

高松に日野元彦がやってくるーーー!!!(吉岡秀晃(pf)トリオ: 坂井紅介(b), 日野元彦(ds))

高松中のミュージシャン仲間がここぞとばかりに集結した。

場所は高松市内の「Swing house」。オーナーの加藤さんがこのトリオを呼ばなければ、私の人生は今こうなっていない事は確か…。あーーー、大感謝!!!!!

スーパートリオのライブは本当に素晴らしいとしか言い様がなかった。涙出た。

オーソドックスな内容なのに新鮮で楽しくて完璧だった。

ライブ前に加藤さんが私をトコさん(日野さんの愛称)に紹介してくれた。ほんの2、3分の出来事。

トコ
「女なのにドラムやってんの?」

ってかなりハイテンションな様子で話しかけてきた。

トコ
「じゃぁ、4ビートの右手だけ叩いてごらん!」

と、階段の手摺を指した。私はド緊張の中、手摺を叩いた。

トコ
「うーん、それはどういう気持ちで叩いた?」
「え…? 別に…何も…」
トコ
「よーくライブで僕を見てなさい! 少しでも分かればいいネ!?」
「はい、よく見てます」

みたいな会話をして客席についた。私は話ができたこの瞬間に既に満足していた。…おっと話を戻して…。

あまりにも楽しい時間とは速いものだ。気がつけばラストのアンコールになっていた。と、その時トコさんがステージから私を呼んでいるではありませんか!?(マジ!? アンコールやでーーぇ!?)

次の瞬間、ジャケットとかかとの高い靴を脱ぎ捨てて私はステージに行った。

トコ
「俺がブルースを1コーラス叩くから次に君が交代して叩くんだよ! 後ろでよく見てなさーい!」

小さい体から出てくる太いタイコの音、スピード感のあるスティックさばき、私はたった12小節でノックアウトされた。

しかーし、交代だぁー、ウワーァ、どうしようー!!!!!(頭の中は真っ白)

トコさんの音に吸い込まれるように、できるだけマネて叩いた。まるで暴れるゴリラのごとく…時々空振りしたりしながら。

「こんなチャンスはもう無い!!」と思い、とにかく精一杯楽しんだ。土壇場の開き直りはピカイチですので…。

ライブの全てが終了した。トコさんはメチャメチャ高いテンションで私に色々と聞いてきた。「このまま四国で叩くのか? 本当は東京で勝負したいんだろ? ところで何才?」など次々と…。

その時のボーヤ(バンドボーイ、ドラムのセッティングから身の回りの世話をする人)が今や活躍中のドラマー力武誠さんで、とっても親切にしてくれたのを覚えている。私の大切な兄弟子だ。

それからしばらくトコさん、力武さん、私の太モモ叩きレッスンが行われ、かなり痛かったのを忘れない。

この一夜の出来事は一生忘れないだろう。そして私は迷わずに「東京に行く!」と決め、次の日には両親、会社、バンド仲間に報告した。

嬉しいのか悲しいのか見事に誰も引きとめてはくれなかった(笑)。

  1. 第一話 生い立ち(香川・高松)
  2. 第二話 ドラム講師時代(広島・福山)
  3. 第三話 立て直しの時(香川・高松)
  4. 第四話 トコさんとの出会い(香川・高松)
  5. 第五話 東京での日々(東京)
  6. 第六話 さらなる野望を胸に(香川・高松)
  7. 第七話 本場・ニューヨークへ
  8. おわりに…

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